クローズドサークル

眠気のその先へ!

権藤です。


作家は時にこういうことを思います。
「いったいこんな作品だれが読みたいのか?」
ネガティブな人間であればなおさらこういう疑問にぶつかります。

でもそこで止まっていては一流の作家ではありません。
一流の推理作家として言いましょう!
「誰が読みたい」ではなく「私が書きたい」から書くのです。
えっ?たまには読者を顧みろ?


さて、お楽しみのミステリー談義のコーナーです。

今回のテーマは「クローズドサークル」です。
外界からの連絡が遮断された空間に何人かが閉じ込められ、そこで事件が発生するような設定のことを言います。非常に狭い概念では密室で数人というイメージですが、実際には無人島だったり雪山だったりします。とにかく警察などの外部組織が入り込んでこないことが重要なわけです。


このクローズドサークルの概念自体は古くからあるものですが…むしろ「○○○少年の事件簿シリーズ」といった方が分かりやすでしょうか?「じっちゃんの名前をなんたらかんたら」というあれです。
彼は部活で孤島に行っては台風で帰れなくなったり、人里離れた集落で唯一の連絡道路が土砂崩れになったり、湖の湖畔でボートはあるのに登場人物が全員水恐怖症でボートに乗れなかったりします。

こういったクローズドサークルがミステリーの手法として使われるのにはいくつかの理由があります。

まず1つは探偵が自由に行動できる点です。
何せ警察などの国家権力が介在しなくなりますから、探偵がイニシアティブをとって行動しても不自然ではなくなります。この手の小説を読んでいると、時々探偵が他の登場人物から「偉そうに推理しているお前が犯人だ」とか因縁をつけられることもありますが、なぜかその因縁が聞き入れられることは多くありません。大体においてそう言った人が次に殺されてしまうからです。

2つ目は容疑者を絞り込める点です。
クローズドサークルには数人の登場人物しかいません。多くて10人くらいです。それ以上になると覚えきれないからです。こうなると、読者は「登場人物の中の誰が怪しいかな?」と考えることができます。そして読者なりの推理や直感で犯人を絞り込む楽しみができます。自分が犯人だと思っていた人物が次の瞬間殺されるのもよくあることです。

3つ目は時限性です。
クローズドサークルは、永遠にクローズドサークルになることはほとんどありません。大体の場合、台風が過ぎ去るまで3日とか、警察が来るのに2日とかタイムリミットがあります。このタイムリミットを読者に意識させることで話の展開を分かりやすく整理することができます。1日目にAが殺され、2日目にBというふうに整理し、あと1日で犯人を見つけなくては…。という具合です。ただ、時々1日目に人が死にすぎて「あれ?Cってどのタイミングで死んでたかな?」という時もあります。


クローズドサークルとして有名な作品をあげましょう。
代表作は、アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」、綾辻行人の「十角館の殺人」などでしょうか。
漫画では佐々木倫子の「月舘の殺人」で電車に閉じ込められます(という表記にしておきます)が、これはアガサ・クリスティーの「オリエント急行の殺人」とイメージが似ています。


閉ざされた世界の中でいつ殺されるか分からない恐怖は、ホラーに通じるところがあります。
ミステリーとホラーは表裏一体なんだなあ、と感じる次第です。




ところで、ラジオドラマ『イタコ探偵工藤よしこの事件簿スペシャル』の舞台は青森県です。
青森県が舞台ならクローズドサークルではない…でしょうか?
東京からやってきた1人の編集者と2人のミステリー作家、青森滞在時間は六十時間。
移動はたった1台のタクシー。


どうです?実はちょっとしたクローズドサークルなのではないかと思いませんか?
ラジオドラマ『イタコ探偵工藤よしこの事件簿スペシャル』
青森県という閉ざされた世界から抜け出し、3人は無事東京に帰ることができるのか…。

結末は聞けばわかる!!!
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by nabegen-itakotan | 2013-09-25 21:30 | ミステリー  

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